出産をしても子育てと両立しながら仕事復帰をしたいと考えているママたちが増えています。
そこで多くのママは育休後に勤務時間を短縮させる時短勤務制度を利用しています。
しかし、時短勤務をすれば当然給料も下がることになるため、時短勤務制度を利用したときの給料計算もしておく必要があります。
これからの生活設計のためにも、子育てと両立しながら上手に働くことを考えていきたいものです。
この記事の内容
時短勤務制度の場合の給料計算方法
時短勤務の時間は会社の育児勤務制度などで、法的な決まりの他にもそれぞれの決まりがあります。
時短勤務時間は大体1日30分~2時間程度が多いようですが、決められた範囲の中で時短時間を決めるのです。
賃金については法律でも実働時間に満たない場合については不就労分を減額するとされているため、1ヶ月の所定労働時間から時短勤務での勤務時間の差額を減額された分が基本給と定められています。
時給制では、例えば1カ月15日勤務、毎日8時間勤務だった人が1時間時短勤務をした場合、1カ月15時間の時短となり、時給がもし1000円なら1万5000円減額となり、給料は12万から10万5000円に減額となります。
給料制の場合、基本給が20万円、毎日8時間勤務だった人が2時間の時短勤務をしたとすると、基本給20×6÷8=時短勤務の給料は15万円となり、5万円の減額となるのです。
給料が減額される理由
単純に労働時間が短くなる
時短勤務の場合は労働時間が短くなるため、その分を給料から引かれるという簡単な理屈です。
子育てと両立させるための時短勤務など到底認められなかった時代に比べ、給料がその分減っても時短勤務が認められることによって、多くの働くママたちは仕事を続けやすくなりました。
給料を時短分減額することで、勤務先の会社にとっても一番負担のないかたちで子育てと仕事の両立を応援することが実現できるのです。
手当などが付かなくなるケースがある
時短勤務にすることで、手当がなくなる場合があります。
これは1時間時短勤務にしたからそうなった、2時間の時短勤務をしたからこの手当がなくなったと、はっきり言えることではありません。
これらは会社がどのように対応するかによっても違ってくるからです。
しかし、例えば勤務時間が通常の8割になったということで、役職手当がなくなったり皆勤手当がなくなったという職場もあります。
残業をすることもないため、もちろん残業手当もありません。
そのため、時短勤務をすることで、どのような手当が減らされるかもしっかりチェックしておきましょう。
それらすべてをチェックした上で、どのぐらい通常勤務のときと給料が変わるか、それに納得できるかということも大切なことではないでしょうか。
社会保険の有無
社会保険料というと、厚生年金保険料、健康保険料、そして40歳~64歳までの人は介護保険料も払うことになります。
これらの保険料は給料から引かれるものですが、実は時短勤務をすることで全体の給料が減るため、引かれる保険料も低くなる可能性があります。
つまり給料が低くなると社会保険料の等級ダウンとなって保険料が安くなるというわけです。
時短勤務による給料減額には、勤務先の事業主を通して社会保険料の低額願いを提出することが必要となります。
雇用形態が変わる
雇用形態が変われば給与にも大きく影響してきます。
よくありがちなのが正社員・正職員から非正社員・非正職員(契約社員やパート・アルバイト)に変わること。
育児休暇から復帰する時に雇用形態が変わる方が多いです。
単純に正社員とアルバイトでは給与も低くなる場合が殆どです。
正社員と非正社員の年収の比較
年代 | 正社員 | 非正社員 |
---|---|---|
25~39歳女性 | 2,319,000円 | 1,922,000円 |
30~34歳女性 | 2,555,000円 | 1,966,000円 |
35~39歳女性 | 2,684,000円 | 1,977,000円 |
参考資料:雇用形態別の賃金(厚生労働省)
給料の減額でチェックしておきたいこと
労働時間分だけが減額されていれば普通
時短勤務制度を利用することで、労働時間分の報酬が減額されているなら問題ありません。
法律的にも育児のための時短勤務制度を利用した場合、時短分の報酬は減額されるとなっているため、それに従えば時短分は当然減額されて当たり前と言えます。
必要以上に勤務していなかったことにされるのは法律違反
時短勤務制度を利用した場合、必要以上に勤務していなかったなんていうことになっている場合もあります。
勤務しなかった期間(時間)について賃金を支払わないことは差し支えありませんが、勤務しなかった期間(時間)を超えて賃金を減額したり、賞与、昇給等で不利益な算定を行うことは禁止されています。
引用元:厚生労働省
このようなことは事務的な問題によることがほとんどですが、もちろん法律違反です。
時短勤務制度を利用している場合はしっかり明細表を見て、分からないことはしっかり職場側に質問するようにしましょう。
時短勤務で保険料の負担が減ったら貰える年金は減る?
時短勤務期間の給料の減額によって社会保険料が減額された場合でも、年金がもらえる額は変わりません。
しかし、そのためには勤務先の事業主を通して手続きが必要となります。
これらの手続きのためには、この特例を受けるママの方からも送られてきた育児休業等終了報酬月額変更届けと厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例申出書を記入して提出することが必要になります。
ちなみに育児のための時短勤務制度にこの特例が適用されますが、介護のための時短勤務には適用されません。
時短勤務のために転職する人も多い
保育園に近場の職場にすることで働ける時間を確保する
出産しても育児と仕事を両立するために時短勤務制度があり、そのため今までの仕事を辞めずにずっと続けることができるのです。
しかし、実際にはこの時短勤務を利用するために転職をする人も多いと言われています。
職場によっては時短勤務をあまり積極的に行っていないところもあり、積極的に行っている職場に転職を考えている人も多いのです。
また、時短制度を利用した上で、より保育園の近い所に転職をすることを考えているママも多いとも言われています。
都心などでは希望している保育園に入ることが出来ない可能性もあり、子育ての時間をできるだけ多く確保するためにも保育園の場所に合わせて、近くに転職をすることも多いのです。
時短勤務を活かして時間を確保し、自身のスキルアップにつなげることも可能です。
時給計算にした時に給料の良い職場にする
時短勤務は働くママにとってはとても助かる制度ですが、やはり現実には働く時間が短縮されるわけで、給料は今までより減ってしまいます。
できるだけ今までの給料に近い給料をもらいつつ時短できることが理想であり、そのために転職をするというママもいるのです。
しかし、給料のことばかりに目が行ってしまうと、自分に合わない職種でも無理して転職してしまたり、時給はいいものの求められることが今までより多く仕事がきついということもあります。
時給のいい仕事を探しても結局そんなに転職は甘いものではなく、今までの職場で働いていた方が良かったと後悔することもあるのです。
そのため、高時給だけを求めてしまうことは注意しなければなりません。
子育てと仕事の両立はバランスを見ながら
子育てをしながら仕事復帰をするママにとって、この2つの両立はとても大切なことです。
子育てをしながら仕事をするといっても、どうしても金銭的に働かなければならない場合や、子育てをするためにずっと家庭にいることが性格的に合わないなど、それぞれの理由に沿った働き方ができるようにしたいものです。
もちろん一番重要なことは「子育て」であることをしっかり軸に置き、その上で「収入」や「自分」の3つをバランスよく保つことが大切ではないでしょうか。
結婚しているママの場合は「家庭」というものもとても重要であり、夫とも仕事についてはよく話合い、仕事に対する考え方などお互いに理解し、夫も家事や育児を助けることも大切になります。
夫婦間での理解や協力がなければ、結局家庭不和の原因にもなりかねません。
また、シングルママの場合は夫の協力も得られず、子どもと自分の生活を支えていくという金銭的な重荷もあります。
子育てと仕事で手一杯になってしまいますが、やはり自分を取り戻す時間などを上手に作ることも大切です。
子どもが大きくなるにつれ状況もいろいろ変わってくるので、そのときどきに合わせてこれらのバランスを上手に取っていくことが重要だと言えるのではないでしょうか。