「ステロイドってあまり使わない方がいい薬じゃないの?」
とステロイドに対して怖いイメージを持っているママも多いかと思います。
しかし、ステロイドと上手に付き合えば非常に頼もしい薬でもあります。
そのため、ステロイドをただ怖がるのではなく、ステロイドのことをしっかり理解し、その上で上手に利用するようにしましょう。
この記事の内容
ステロイドが処方されるシーン
乳児湿疹
乳児湿疹といっても、いろいろなタイプがあります。
例えば、生後数ヶ月(約1~3ヶ月と言われていますが個人差があります)は皮脂が多い状態なので、保湿ケアをしなくても、天然のクリームとも言える皮脂が乾燥を防いでくれます。
しかし、この時期だからこそ起こる乳児湿疹としては、毛穴が詰まって黄色の小さいニキビのようなものが広がるなどがあります。
生後数ヶ月を過ぎると、だんだん皮脂過剰が落ちつき、逆に今度はカサカサした肌になり、それが原因でトラブルが起こりやすくなります。
この頃になるとアトピー性皮膚炎と見分けがつかない状態になり、医師でもはっきり分からないこともあると言われています。
そのため、ステロイド配合の外用薬を使用しながら、アトピーか一般の乳児湿疹かチェックしていくということもあるのです。
アトピー性皮膚炎
もちろんアトピー性皮膚炎と診断された場合は、アレルギーを抑えたり痒みなどを抑えるステロイドを使用した治療を行うことが最善とされています。
この場合も当然医師の指導の下、ステロイドの強さ、量などを調整しながら使用することになるわけです。
改善されてくるとステロイドの使用を突然止めるのではなく、少しずつ調整しながら使用を終わらせていく必要があります。
このようにアトピー性皮膚炎の場合は特に長期使用となるため、医師の処方による治療を行う必要があります。
ステロイドの種類を知っておこう
塗り薬(乳幼児によく使用される薬)
ステロイドの塗り薬には強さ順に4段階に分かれています。
塗り薬に使用されるステロイドの種類としては、0.1%酢酸ヒドロコルチゾン、0.05%酢酸クロペラゾン、0.1%吉草酸ジフルコルトロンなどの他にも、たくさんの濃度の違うステロイドが使用されています。(商品名ではなく成分名です)
その中でも乳幼児に使用されているのは、一般的には一番弱いタイプを使用することがほとんどです。
また、医師の処方によってはワセリンなどと混ぜて、濃度を薄くして処方したものをボトルに入れて渡してくれる場合もあります。
内服薬
小児喘息など喘息系の場合、吸入薬の他に内服薬を使用することがあります。
他にも膠原病、肺炎、腎臓病、皮膚病、アレルギー疾患などの場合も内服薬としてステロイドを必要となる場合も。
ステロイドの種類としてはプレドニゾロン、ベタメタゾン、デキタメタゾン、メチルブレドニゾロンなど他にもいろいろな種類があり、1つの種類のステロイドの中にも濃度の違ったタイプがそれぞれあります。(商品名ではなく成分名です)
吸入薬
内服薬と同様、いろいろな疾患でステロイド吸入薬が使われさまざまなタイプがあります。
代表的なステロイド吸入薬には、フルチカゾン、ベクロメタゾンなど他にもいろいろあります。(商品名ではなく成分名です)
メーカーによって商品名が違ったり、吸入器の形態などが違うこともあります。
また、濃度に違いがあり、医師が症状に合わせて使い分けます。
点眼薬
点眼薬の配合されているステロイドには、デキサメタゾンメタスホルン、デキサメタゾンメタスホルン安息香酸ナトリウム、ベタメタゾンリン酸ナトリウム、フルオロメトロンなど他にもいろいろあります。
しかし、点眼薬の場合はどれも濃度の薄い、弱いタイプのステロイドが中心となります。(商品名ではなく成分名です)
点鼻薬
点鼻薬にはフルニソリドなどが代表的です。(商品名ではなく成分名です)
注射
注射に使用されているステロイドとしてはトリアムシノロンアセトニド、ブチル酢酸プレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、酢酸ハロプレドンなど他にもいろいろな種類があります。(商品名でなく成分名です)
どれもそれぞれの濃度を選ぶことができ、その症状によって医師が使い分けます。
ステロイド外用薬の使い方
ステロイドを正しく使うためにも、医師の処方によるステロイド使用が一番おすすめです。
しかし、赤ちゃんにも使用できる湿疹などに効果のある、市販の外用薬の多くにステロイドが含有しています。
そのため、基本は長期間使用しないことが大切です。
確かにステロイドは副作用がありますが、長期使用しなければ心配はさほどないと言われています。
ただし、1週間から10日程度で患部がすっきり完治しないようであれば医師に相談するようにしてください。
また、市販の薬の使用要領もしっかりチェックしましょう。
塗り方としては、強く塗りこまず薄く伸ばすように塗ります。
塗った後に皮膚が少しテカるくらいがベストです。
ステロイド外用薬の塗る量
ステロイドは正しく使用さえすれば、とても頼もしい薬です。
その中には使用量というものも大切となります。
基本的には大人の人差し指の第一関節分の量を、大人の手2枚分くらいの広さに塗ってあげてください。
また、短期間ではあまり問題になりませんが、ステロイドは効果がある反面、皮膚の免疫力を低下させてしまうため、塗る範囲は出来る限り患部だけ限定します。
塗る回数も市販の場合は外用薬の使用要領に従うことが大切です。
医師による処方の場合は注意事項などの説明をしっかり聞いておきましょう。
ステロイドの場合はたくさん塗れば良いということはなく、逆に副作用を強めてしまうので注意が必要です。
ステロイド外用薬の副作用を心配し、医師の指示どおりに薬を使わなかったり、中途半端に止めてしまったりすると、薬の効果が出なかったり、再び炎症が起こり、湿疹がいつまでたってもよくならない、ということにつながります。
※引用元:外用薬や保湿剤の塗り方のコツ(独立行政法人環境再生保全機構)
ステロイド外用薬を使用する上での注意点
ステロイド外用薬を使用する場合、注意することがあります。
まず、市販のステロイド外用薬を使用する場合は、長期間使わないこと。
1週間~10日程度で完治しなければ、医師に相談することが大切です。
また、ある程度使用して止めたら、また酷くなったという場合も医師に相談しましょう。
赤ちゃんの時期には乳児湿疹だけでなく、アトピー性皮膚炎、疥癬、乾癬などなかなか見分けにくいです。
医師はステロイドを使用して、その効果の状態によってこれらの肌疾患の判断をしていくこともあります。
そのため、ストロイド外用薬を使用する場合は、できれば市販のものではなく医師の診断を受け、それによって処方されたものを使用しましょう。
ステロイドを使ったからといって自然治癒力が弱まるわけではない
ステロイド外用薬を使用すると、薬の力に頼ってしまい、
「自然治癒力が弱まってしまうのでは?」
と不安になる方もいるかと思いますが、ステロイドを使用したからといって自然治癒力が弱まることはないと言われています。
考え方としては、自然治癒力を引き出す薬というイメージです。
症状が酷い場合は自己判断せず医師に診てもらう
乳児に起こる湿疹を総称で乳児湿疹と言いますが、
「乳児のときに起こる湿疹の中にはなかなか治らない」
「治ってはすぐにまたできる」
「炎症が酷くいつまでもグジュグジュしている」
「痒がって傷だらけになってしまう」
「赤ちゃんが痒がってゆっくり眠らない」
などの症状があれば、できるだけ早く医師に診てもらうことが大切です。
どのような肌トラブルが起きているのか、その治療にはどのような薬が良いのかなど十分な知識が必要です。
自己治癒を待っていても赤ちゃんの免疫力はまだまだ未熟なので、酷くなってしまったら自己判断は禁物です。