ミルクで育った子どもと、母乳で育った子どもは違いがあると言われています。
できるなら母乳で育てたいというママも多いと思いますが、やはりいろいろな事情で母乳が無理な場合はミルクで育てることもあります。
また、仕事を再開するためや、ママの健康状態など、いろいろなことで母乳育児からミルク育児に切り替えたいと考えているママも少なくありません。
確かに母乳育児の方が少なからず良いと言われていますが、ミルク育児だからと言って悲観的になる必要はありません。
ここではミルク育児に切り替えることで不安に思っている方に、母乳育児とミルク育児の違いなどを解説したいと思います。
体格面での違い
母乳で育った子どもより、ミルクで育った子どもの方が大きくなると聞くことがあります。
確かにミルクの場合は牛乳が主体となっているので、どうしても高タンパク質ということもあり、ぽっちゃりとした体系になりやすいのです。
その点、母乳で育った子どもは筋肉質になりやすく、締まった体系はミルクで育った子どもより一回り小さく感じるのかも知れません。
どちらも成長曲線にそった伸びがあれば特に心配することはないですし、ママがしっかりコントロールしてあげれば問題ありません。
しかし、3歳までの体重増加が著しくなると、脂肪細胞が増えてしまい、成人してからも太りやすくなってしまうので注意したいところです。
また、母乳は特に与える量は多すぎるということはありませんが、ミルクの場合は多すぎると太ってしまう可能性があるので注意しましょう。
歯並びでの違い
母乳とミルクの違いは、おっぱいと哺乳瓶の飲み方にも関係しています。
母乳をおっぱいから吸うときには上唇も下唇も外向きに開いた形になっているのです。
そして、おっぱいを舌と顎をしっかり使って刺激をしないと母乳がでないので、顎もしっかり鍛えられます。
しかし、ミルクの場合哺乳瓶から飲んでいるときには、母乳のときと逆に唇が内側に丸まることがあります。
また、哺乳瓶の場合は吸い付くだけでミルクが出るので、母乳のときのように顎を使いません。
このような違いから母乳の赤ちゃんの方が顎の発育も良く、歯並びも良くなる傾向があります。
知能面での違い
最近のミルクは母乳と変わらないほどの栄養成分が含有されており、愛情面でもミルクだから母乳だからと大きな差があるわけでもありません。
ミルクと母乳の差はほとんどない現在でも、母乳で育った子どもの方はIQが高いという声が聞かれます。
これも個人差がありますが、しいて言えば青魚に多く含まれているドコサヘキサエン酸、つまりDHAが母乳には豊富に含まれているのです。
脳の成長に欠かせないDHAが豊富に含まれていることにより、IQが高いということが言い伝わっているのです。
ただし、最近のミルクにもDHAなど含まれているので、母乳との差はほとんどないとも言われています。
吸収率などは母乳の方が高いため、脳の成長に多少の差が出るのは事実ですが、知能の高さは遺伝や環境などもあるので、一概にそれだけでは比べられない部分なのです。
免疫面での違い
赤ちゃんはママのお腹の中にいるときに、胎盤を通して移行する免疫があり、例えば風疹や麻疹、水疱瘡などのウイルスから体を守る免疫で、免疫グロブリンGというものです。
この免疫グロブリンGは生後半年ぐらいで、ほとんどなくなると言われています。
そのために1歳までにワクチンを打つわけです。
生まれてからはお母さんの母乳に含まれているグロブリンAという免疫が、赤ちゃんをいろいろなものから守ってくれます。
特に初乳に多く含まれており、大体4日ぐらいで初乳の中のグロプリンAは10分の1ぐらいに減ってしまいます。
そのため、ミルクで育てる場合でも、できれば初乳だけは飲ませた方がいいと言われるのは、このグロブリンAが摂取できるからなのです。
グロブリンAが赤ちゃんの消化管の粘膜に塗られた状態になり、さまざまな感染から守ってくれると言われています。
もちろん初乳ほどではないものの、母乳を飲んでいる間はこのグロブリンAを摂取できるのでミルクより免疫力が強いとも言えるのです。
とは言っても、その子どもの体質や環境の違いなどもあり、一概には言えない部分もあります。
ミルク育児だからといって悪いわけではない
もちろん母乳は素晴らしいものですが、それに限りなく近づいてきているミルクをつくる技術が進んでいる今、ミルク育児だからと言って悪いことはありません。
ミルクに替える必要がない場合は、やはり母乳をおすすめします。
しかし、いろいろな理由で母乳が難しいときには、ミルクを選ぶことがあっても問題のないところまでミルクの技術は高まっていることも事実です。
ミルク育児の子の方が卒乳は早い
母乳で育った子どもよりミルクで育った子どもの方が、卒乳が早いと言われているのには理由があります。
ミルクは高タンパク質のため腹持ちが良く、母乳の子どもより飲むタイミングの間隔が長く、逆に母乳の方がミルクより飲む回数も多くなります。
飲むタイミングの回数の違いから、卒乳がミルクの方が早いと言われているのです。
また、母乳とミルクのスキンシップの深さの違いからも、母乳の方がどうしても卒乳が遅くなるとも言われています。
これも個人差があり、母乳で育った子どもでも卒乳の早い子どももいます。
特に食欲の旺盛な子どもは離乳食をしっかり食べるので卒乳は早まる傾向があり、逆に離乳食がなかなか増えない子どもは卒乳が遅れるということもあるのです。
そのため、ミルク育ち、母乳育ちというだけで卒乳の早さを比べることはできませんが、傾向として上記の理由が挙げられるようです。